2023-07-20
世の中には「顔診断」と呼ばれるものがあります。
顔のパーツの大きさや形、バランスなどをもとに、顔のタイプを分類し、そこから“似合う服”や“なりたい自分像”を導き出そうとする診断です。
たとえば、ネット上ではこんな言葉が見受けられます。
そして、分類の例としてはこんなタイプ分けがされているようです。
ですが、私はこの「顔で似合う服を決める」という考え方に、強い違和感を抱いています。
本当に【顔】で、ファッションを決めなくてはならないのでしょうか?
ファッションは、その人の“生き方”を映したものだと思っています。
たとえば――
すべて、あなたの選択です。
つまり、ファッションはあなたの思考や感性、生き方そのものの表れなのです。
人生「衣・食・住」と言うように、私たちは日々、暮らしのあらゆる場面で自分の好みや価値観をもとに選択を重ねています。住まいも、食事も、服も、自分の軸で選ぶからこそ、自分らしい生き方が整っていくのだと思います。
それなのに、服だけは顔で決めるというのは、どこかおかしくありませんか?私はそこに、むなしさすら感じてしまいます。
ファッションには、その人の価値観や生活がそのまま反映されます。
たとえば──
こういった細部は、その人がどれだけ日々を丁寧に暮らしているかを映し出します。生活が乱れていれば、ファッションも雑になります。体型のゆるみ、ずぼらな服の扱い、疲れた印象もすべて装いに表れてしまうのです。
逆に言えば、日々の生活に気を配っていれば、どんな服でも不思議と素敵に見えるものです。
ですから、まず整えるべきは、「生活」そのもの。それは、部屋を片づけることかもしれないし、靴を磨くことかもしれない。清潔感や品のある装いは、そこから自然に生まれます。
ファッションは、あなたの生活感や考え方といった生き方が丸見えです。顔診断のキュートやソフトエレガントなどというタイプ分けに満足している場合ではないと思うのです。
顔診断に戻りますが、私はこうした診断が過剰に注目される現状に少し不安を感じています。
というのも、顔の形は基本的には変えられない部分です。眉やメイクで印象を変えることはできても、骨格そのものを変えるのは簡単ではありません。
それなのに、「顔に合う/合わない」でファッションを判断してしまうと、劣等感やコンプレックスの種になりかねないのです。
しかも今は、ジェンダーの枠組みも自由になってきた時代。ファッションのあり方も、性別を超えたものになってきています。
たとえば、パリコレクションでは、性別を意識せずにスタイリングされたモデルたちが登場します。マルジェラのようなブランドでは、男性がフェミニンな装いを、女性がメンズライクな服を着こなし、「誰が男性で誰が女性か」すらも曖昧になる演出がされています。
“男っぽい顔の女性”が女性らしい装いをしている――それが「粋」で「美しい」と感じる人も多いはず。顔でファッションを決めることの無意味さを、こうした例は教えてくれているように思います。
ファッションは、「こうありたい」「こう見せたい」という気持ちで選んでいいものです。
そして、おしゃれを整えるには、まず生活を整えること。見た目だけを整えようとしても、本質的な魅力は生まれません。
SNSや診断ツールの情報に振り回されず、自分の感性を大切にしてください。自分らしい生き方を磨いていけば、自然と“似合う服”も、自分自身で選べるようになります。
ファッションは『好き!こうありたい!』という気持ちで選んでいいものです。
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