2025-07-03
13年のミニマリズムが教えてくれたのは、「何を捨てるか」で人生の質は決まる、ということ。家・服・習慣……選ばなかったものの先にある、本質的な豊かさについて綴りました。
考えることをやめてしまえば、人はよくて現状留まりか、ゆっくりと後退していく。
しかし、よく考える人は、自分の人生を自分の手で変えていくことができます。
ここでいう「考える」とは、限られた時間・お金・エネルギーを、どこに注ぐかを見極め、選び取るかということです。
つまり——
人生、とくに「衣食住」について、他人の価値観ではなく、自分自身の価値観で選び、決めていくということについて、お話ししたいと思います。
お金がなかった頃、私はずっと「賃貸でいい」と思っていました。
駅から遠く、将来的に資産価値が下がる郊外の建売りを買い、30年後にボロボロの家と土地だけが残るのなら——
それは、私にとって「本質的な豊かさ」とは言えませんでした。
周囲は、結婚し、子どもが生まれれば当たり前のように新築を購入していました。その時の気持ちは正直、羨ましくなかったと言えば嘘になります。
でも、年賀状の住所が変わっただけで、わざわざGoogleマップで検索して、「家、買ったの?」なんて言ってくる友人に、正直ちょっとうんざりしたことも。
だからこそ、私の中にあったのは、「自分たちの選び方を信じる」という静かな闘志でした。
私は、夫の通勤や子どもたちの通学が楽になるようにと、駅近の賃貸マンションを選び、都市に近づくことで、生活力そのものを高めていくことに集中しました。
不思議なご縁がめぐり、埼玉の都市部、駅近くの新築マンションと出会いました。
12年前の当時の私たちでは到底手の届かないような、ハイスペックな物件。でも、少しずつ積み重ねてきた日々の努力が、「いまだ、ここだ」と確実にすばやく、迷わず背中を押してくれました。
ローンも借金もなく、スムーズに契約できたのは、“考えて選んできた暮らし”の積み重ねがあったからです。
12年、淡々と耐えた(そんな大げさでもないけれど)こその、掴んだ代物です。
服についても同じです。
夫婦そろってアパレル業界にいた私たちは、結婚当初、二人で200着以上の服を持っていました。でも子どもが生まれたことをきっかけに、それを30着まで減らす決断をしました。
業界的には、シーズンごとに新作を買い、試着販売をして着回すのが当たり前。そんな中で、服を買わず、同じ服を着続ける選択は、正直、楽なものではありませんでした。
でもそのとき、「在るもので生きる」ことへの誇りが育ちました。我慢する、覚悟する、在るものを上手く利用する、選択と集中―
つまり、“足るを知る”というミニマリズムの精神です。この経験が、私たちのミニマリストとして生きる土台になり、それが人生の成功へと導きました。
ミニマルな思考は、家、暮らし、人間関係、教育、すべてに通じるものです。
選ばなかったものも、選んだものも、すべてが「自分の意思を通す生き方」の覚悟と決断でした。
私がファッションにお金をかけるのは、誰かに見せたいからではありません。
自分にとっての美しさを保つ(=美しい精神を保つ)こと。それが、私にとっての“装い”です。
お金もモノも無く、与えられた環境だけでやりくりしなければならなかったとき、それでも私は、プライドだけは捨てたことがありません。
美しくあるために、精神を乱さず自分らしくあるために、最低限の清潔感、高級感、秩序ある美しさ、それらが私にとって不可欠なものです。
だからこそ考えながら、耐えながら、心の美しさだけは手放さず生きてきました。
おしゃれに必要なことは、
自分の軸をもって選び取るという意志の強さ、です。
私はファッション診断を、「似合うものを探すため」ではなく、お客さまの“生き方の問い直し”の入り口だと本気で捉えています。
だからこそ、私のサロンでは、ただ似合う服を一緒に探すだけでなく、「どう生きたいのか」を丁寧に考える時間を、大切にしたいと考えているのです。
どこで診断するか。
誰とつながるか。
何を選ぶか。
それも、あなた次第です。
ミニマリストとして13年。
削ぎ落とし、見極めるという思考は、結果として人生の質を大きく引き上げてくれました。
本当に大切なのは、「どんな成功法を選ぶか」よりも、「何を捨てるか」。
その土台があるからこそ、今も情報に振り回されることなく、まっすぐに自分を生きられています。
この思いは、「伝えたい」というより——ただ、届けたい。
私の言葉は、誰かに何かを訴えたいわけではありません。これは、主張ではなく、誠意であり——願いのようなものです。
これからも、深く、本質を見極めるための言葉を——
淡々と、静かに、届け続けようと思います。
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