
2026-06-19
なぜ、こんなにも虚しくなるのだろう。
何者かになろうとするからだ。
何かを成し得なければならないと思うからだ。
本当は、ただ在るだけでいいはずなのに。
淡々と日々を重ねること。
同じような朝を迎え、同じような暮らしを続けること。
家族を送り出し、食事を整え、部屋を片づけ、季節の変化に気づくこと。
それだけで十分に尊いはずなのに、
なぜ、それがこんなにも不安になるのだろう。
なぜ、それが無価値なもののように見えてしまうのだろう。
何かを成し遂げること。
成功すること。
お金を稼ぐこと。
有名になること。
美しくあること。
豊かな暮らしぶりを見せること。
いつの間にか、そういうものが「成功」のように見えるようになった。
見た目が整っていなければならない。
暮らしぶりが素敵でなければならない。
持ち物にセンスがなければならない。
何かを発信し、何かを証明し、誰かに認められなければならない。
けれど、それは本当に私の望みなのだろうか。
一部の人の、ほんの一場面の切り取りが、
まるで世の中の常識のように見えてしまうことがある。
華やかなものに目が行くのは、仕方がない。
美しいもの、強いもの、分かりやすく成功しているように見えるものに、心が引っ張られることもある。
けれど、それをそのまま自分の価値観として受け取らない強さを持ちたい。
素朴でいい。
素朴がいい。
そのままでいい。
そのままがいい。
私は私。
人は人。
頭ではそう思っているのに、
世の中の空気に触れているうちに、いつの間にか揺らいでしまう。
情報に触れ続けるほど、
自分の感性が遠くなることがある。
本当は何が好きだったのか。
何を美しいと思っていたのか。
何を大切にしたかったのか。
それが、分からなくなっていく。
でも本当は、焦らなくていい。
なにも証明しなくていい。
誰かの暮らしを、自分の基準にしなくていい。
暮らしの中には、すでに大切なものが在る。
では、どうすれば自分に戻れるのだろう。
SNSを見なければいいのか。
情報に触れなければいいのか。
心が動く時間を持てばいいのか。
きっと、すべてを遮断することではないのだと思う。
ただ、情報の中に居続けないこと。
自分の暮らしに戻ること。
目の前にある空気を感じること。
手に取れるものに触れる。
花の水を替える。
お茶を淹れる。
窓を開ける。
布の手触りを感じる。
光の入り方を見る。
家族の声を聞く。
自分の呼吸に戻る。
本当に大切なものは、
遠くにあるのではない。
すでにそこに在る。
——そして、自分の現実に戻る。
そのために、人は自分に戻れる場所を持っていたほうがいいのだと思う。
自分の軸。
判断基準。
価値観。
何を美しいと感じるのか。
どんな空気の中にいると、心が落ち着くのか。
何を大切にして暮らしたいのか。
どんな自分で在りたいのか。
自分の中にある、静かな判断基準を知ること。
装いを選ぶことは、
その判断基準を日々、確かめることでもある。
今日、何を着るのか。
どんな色を選ぶのか。
どんな素材に触れていたいのか。
どんな場に、どんな姿勢で向かうのか。
その一つひとつに、
自分の価値観は静かに表れる。
服を選ぶことは、おしゃれになるためだけの行為ではない。
自分の感性を思い出すこと。
自分を大切にすること。
自分の足元から、暮らしを整えていくこと。
そのために、私は装いを考えている。
——
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